温度の低い熱源から熱を取り出せるのはなぜ?
熱交換器を使用すると、熱を低温の場所から高温の場所へ移動させることもできます。このことに関して不思議に感じている人も多いでしょう。ここでは、なぜ低温の場所から熱を移動させられるのか、その仕組について説明していきます。
目次
熱が移動する仕組み
熱は温度の高いところから低いところへ移動する性質を持っています。例えば、熱いお茶やコーヒーを放置しておくと、冷めてぬるくなるでしょう。このとき、お茶やコーヒーから周囲の空気へ熱が移動しています。夏の暑いときに冷たいジュースがぬるくなるときには、周囲の空気からジュースに熱が移動するという具合です。
熱が低温のところから高温のところへ移動することは、通常ありません。
圧縮または膨張させる
気体は圧縮することで温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質があります。いずれの場合も、持っている熱の量は変わりません。この性質を上手く利用しているのがヒートポンプという装置です。
熱源となる気体の温度が低ければ、その気体を装置内に取り込んでから圧縮します。そうすると温度が上がり、熱を取り出せるようになるという仕組みです。
また、膨張させて温度を下げてから周囲の熱を集めるという方法で、温度が高いところに熱を移動させることもできます。
ヒートポンプは、低い位置にある水をポンプで重力に逆らって汲み上げる様子によく似ていることから、そのように名付けられました。熱交換器には、このヒートポンプが使われているため、低温の熱源からでも熱を取り出すことができます。
エネルギーを有効活用できる
ヒートポンプを使用するには、電気を消費します。しかし、ヒートポンプで低温の熱源から熱を取り出す方法は、電気をそのまま熱に換えるのと比べてエコな方法です。同じ条件下なら、ヒートポンプを使った方が3~7倍程度の熱を得ることができます。
また、石油などの化石燃料を燃やして熱を得ると二酸化炭素が排出されますが、ヒートポンプを稼働しても二酸化炭素は排出されません。既に空調設備や給湯器などを中心に、ヒートポンプの活用例は多いです。
ヒートポンプを上手く活用することで、工場の排水や地中熱など、これまで使われていなかった熱も有効活用できます。
まとめ
ヒートポンプは気体を圧縮したり膨張させたりして、熱を温度の低い方から高い方へ移動させられる装置です。これにより、低温の熱源からでも、熱を取り出して有効活用することができます。既に空調設備や給湯器などに使われており、今後も二酸化炭素排出削減などにおいて、期待が寄せられています。
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