2023.09.28

冷却とは?工場にある冷却装置の仕組みや種類を解説

冷却とは?工場にある冷却装置の仕組みや種類を解説

工場に欠かせない装置のひとつが冷却装置です。

冷却は、対象から熱を取り除いて、温度を下げることを指します。たとえば、工場で使われる機器には精密に作られたものも多くあり、高温状態では想定したパフォーマンスを実現しにくくなります。そのため冷却装置を活用することで、適切な温度環境を保つことが大切です。

今回は、冷却の基礎知識を解説したうえで、冷却に使われる装置の仕組みや種類を紹介します。

冷却とは

冷却とは、温度を下げることを指します。昔から多くの場面で利用される物理現象のひとつです。たとえば、暑い時期に行う打ち水は、昔から空気を冷やす方法として活用されていました。

これは、物質の状態変化に伴い、熱エネルギーが移動する仕組みを利用しています。物体は固体・液体・気体の順で含められるエネルギー量が大きくなります。そのため、固体から液体、液体から気体へ物質が変化するとき、熱エネルギーが変化した物質に吸収されるのです。

打ち水の例でいうと、水、つまり液体を地面に撒くことで、地表の熱エネルギーが水に奪われます。熱を奪った水は水蒸気、つまり気体になるのです。これにより、地表が冷やされ、家の周りが冷やされます。

冷却装置で行う冷却方法はそれぞれ異なりますが、基本はこの仕組みを応用したものです。また、工場で使われる機械だけでなく、エアコンや冷蔵庫など、家庭内にあるものを冷やす装置も、この仕組みを利用しています。

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冷却と冷凍の違い

冷却と同じように、ものを冷やす技術として「冷凍」があります。冷やすという点では同じですが、冷却とはどう違うのでしょうか。

冷却はものに含まれた熱を冷ます行為です。一方、冷凍は物質を人工的な技術を用いて凍らせることを指します。

物質の中には温度を下げても凍らないものがあります。たとえば、風邪をひいて発熱しているときに頭を冷やしますが、このときはあくまで頭を冷やすことが目的です。頭を凍らせたいわけではありません。

熱を下げることと凍ることはイコールではないため、どちらも違う意味です。混同しないようにしましょう。

冷却装置とは

冷却装置は、冷却をおこなう機械のことです。

工場では主に、生産や製造工程で何かを冷やすために使われます。自動車のエンジンを冷やすラジエーターのように、生産に使われている機械を冷やす役割のものだけでなく、エアコンのように施設や工場の空調管理の一環として活用されているものもあります。

ただし、設置された目的により必要な機能が異なることもあり、一口に工場用の冷却装置といっても、その種類はじつにさまざまです。工場における冷却装置を理解するには、この違いを区別できるようにしておく必要があります。

冷却装置の種類と特徴

では、工場で使われている冷却装置には、どのようなものがあるのでしょうか。工場で使われている冷却装置の種類と、特徴を解説します。

空冷式熱交換器(空冷ラジエータ)

空冷式熱交換器は、文字通り周囲の空気を冷媒、つまり冷やす道具として使っている冷却装置となる熱交換器です。空冷ラジエーターとも呼ばれており、フィンやチューブなどの管束を基本構造としています。

冷却対象を管束の中に流した状態でファンの風を当てることで、中を流れるものに含まれる熱を空中に逃がすことで冷却します。これは、うちわでご飯をあおいで熱を取るときと似たような仕組みです。

ごみ焼却施設や石油を採掘・生成する施設など、大規模な熱が発生する処理を行う工場で採用されている冷却装置です。

水冷式熱交換器

水冷式熱交換器は、ふたつの液体・流体を混ぜることなく熱交換できるように設計された冷却装置です。自動車のラジエーターとほぼ同じ仕組みになります。水冷式熱交換器は、以下の設備で構成されています。

  • 冷却対象となる液体や流体とそれを入れるタンク
  • 熱交換器
  • 冷却水や冷媒
  • ポンプ

まず冷却対象となる液体や流体がポンプにより熱交換機へ送られます。熱交換器には工業用水や水道水・冷媒となる液体が循環しており、この近くを液体または流体が通ることで、内部の熱が冷却水や冷媒に移る仕組みです。

熱を奪った冷却水または冷媒は、熱を奪われた後再利用されます。最初に解説した、熱エネルギーの移動を応用した冷却装置です。主に製品を冷やすときに使われます。

クーリングタワー

クーリングタワーは、水冷式熱交換器とほぼ同じ仕組みですが、細かい部分が異なります。別名冷却塔とも呼ばれており、工業用水に使われることがある大規模冷却装置です。

冷却水や冷媒を循環させて工業用水などを冷やす仕組みですが、水冷式熱交換器との違いとして、冷却水や冷媒を外気に直接触れさせている点があげられます。循環水外気に触れて水蒸気になる仕組みを応用し、温度を下げているのです。

チラー

チラーもクーリングタワー同様、熱移動を利用して製品や工場を冷やす冷却装置です。冷却だけでなく、温める効果のある機器もあり、さまざまな用途で用いられています。製品そのものを冷やすだけでなく、廃棄物の乾燥や工場内の空調などに用いられるものもあり、一口にチラーといっても性能は製品ごとに異なります。

温める効果もあり、温度を一定に保つ装置として使われていますが、冷却を目的としているものが一般的です。そのため、「冷やすもの」を意味するチラーの名前で呼ばれています。

チラーには冷媒が循環する冷凍サイクルと、冷水が循環する循環水回路のふたつの構造で構成されているのが特徴です。また、冷媒の冷却方法で空冷式と水冷式に分けられます。

空冷式は、冷却水から熱を奪って気体になった冷媒をファンで送風することで熱を逃がし、再度液体に戻して冷やす方法です。排熱する関係から室温管理が必要ですが、冷却水用の配管がいりません。設置や保守が簡単なのが特徴です。

一方、水冷式チラーは、冷媒の近くに冷却水の入った管を置くことで、そちらに熱を移動させて冷やす方法です。冷却水を入れるためのタンクと配管設備が必要なため、設置がたいへんですが、冷却効果が高いです。室内への排気や廃熱がなく室内環境管理の手間がかからないのも、特徴といえるでしょう。

チラーはさまざまな用途で用いられているため、構造や仕組みも製品ごとに違います。導入の際は、目的に合わせたものを選ぶことが大切です。

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そのほかの冷却装置

冷却装置の中には、特定の目的に用いるために作られたものもあります。たとえば、漁船に搭載する魚艙や生簀の中を冷却する海水冷却装置は、漁獲した魚の鮮度を保つために使われます。

また、専用の冷却装置は漁船に搭載されているものだけではありません。電子冷却素子と呼ばれる電流を流すと金属からほかの金属へ熱が移動する仕組みを利用した、電子冷却装置は、パソコンなどの精密機器の冷却に使われています。

電子冷却装置は、フロンなどの冷媒を使わずに冷却できるほか、加熱にも対応できるため、機器の加熱・冷却装置としても使われています。

まとめ

冷却装置に使われている仕組みは、目的や製品により実にさまざまです。

一見同じ仕組みに見えるものでも、内部を詳しく調べれば細かな違いに気が付くこともあります。冷却装置の仕組みや種類を詳しく知ることで、より適した製品を選びやすくなるでしょう。

 

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