エアコンとは?知っておきたい基本とメンナンス方法を解説
地球温暖化が進み、日本の平均気温は100年前と比較しても上昇傾向にあります。夏の暑い日が増え、エアコンは生活になくてはならない必需品になりました。季節によっては、ほぼ毎日エアコンを使用する方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな身近なエアコンの基本として、概要とメンテナンス方法を解説します。
目次
エアコンとは?
エアコンとは、室内の空気の温度や、湿度などを調整する機器のことです。正式名称は、「エアコンディショナー(Air Conditioner)」で、和訳すると「空気の調節機」になります。
機能が近い製品としてクーラーがあります。エアコンでは、部屋を涼しくする冷房機能、暖かくする暖房機能を使用可能です。しかし、クーラーはお部屋を涼しくできても、暖かくすることはできず、室温を下げるときにのみ使用されます。現在使われている空調機器は、クーラーではなく、暖房機能付きのエアコンがほとんどです。
エアコンの機能
現在のエアコンには、下記のような機能がついています。
- 冷房機能
- 暖房機能
- 空気洗浄機能
- 部屋の空気を循環させる機能
- 自動フィルター掃除機能
- 湿度調整機能
- タイマー機能
他にもスマートフォンから操作可能なものや、人感センサー付きエアコンなど、年々新たな機能が登場しています。
ただし、機種によって機能は異なります。例えば、最低限の機能だけを実装したシンプル設計で価格を抑えた定番モデル、そのメーカーだけの便利機能を搭載した最新モデルなど。購入前にチェックすることで、自分に合った製品を選びやすくなるでしょう。
エアコンの歴史
エアコンの開発の歴史は意外に古く、イギリスの科学者マイケル・ファラデーが空気の冷却法を発見したことに始まります。ファラデーは、液体になったアンモニアを蒸発させると、周りの空気を冷やせることを発見しました。
その後1902年に、アメリカのウィリス・H・キャリアが、温度と湿度をコントロールできるエアコンディショナーを発明します。しかし、このキャリアが発明したエアコンは工業用で、家庭用ではありませんでした。1931年にはアメリカで、窓に取り付けるウインド型のエアコンが開発され大量生産されました。このウインド型のエアコンが、家庭へのエアコン普及のきっかけとなります。
日本で初めてエアコンが発売されたのは1935年です。この時は「空気調整機」と呼ばれ、機能はクーラーに近いものでした。1960年代になると、冷暖房兼用のヒートポンプ式のエアコンが発売。1971年には、1台で2〜3部屋の空調が可能な多室型のエアコンが発売され、1972年には多室型のヒートポンプ式エアコン(暖房機能付き)が発売されました。
1980年には、エアコンの動きを自動で調整できるインバーターエアコンが発売となり、室内の温度を自動で管理できるようになりました。1990年代に入ってからは、エアコンの小型化や軽量化が進み、除湿、加湿、換気機能のついたものも開発されました。
2000年代に入ってから、フィルターの自動清掃機能や、家の外からスマホで操作できる機能や、菌やウィルスを抑える機能がついたものなどが登場しています。
エアコンの仕組み
エアコンの冷房や暖房の仕組みについて説明します。
暖房の仕組み
暖房は、気体が液体に状態変化するとき、周囲に熱を放出する「凝縮熱」の原理を利用しています。
エアコンの室内機と室外機はパイプで繋がれ、熱を移動させる重要な役目を担う冷媒が循環しています。エアコンの室外機には、圧縮機と熱交換器があり、室外機で圧縮され高温となった冷媒がパイプを通って室内機に移動。室内機にある熱交換器で、冷媒は熱を放出しながら液体に変化。そのときに、室内機からは冷媒が放出した熱が暖かい風となって出てきます。
その後、冷媒は室外機にある膨張弁に運ばれ、圧力を下げられ、低温の液体に変化。さらに室外機の熱交換器で外の空気の熱を取り込んで気体へと変化し、圧縮された状態で、再び室内機に運ばれます。この流れを繰り返し、部屋を温めます。
冷房の仕組み
冷房は、液体が蒸発し、周りの熱を奪う「気化熱」の原理を利用しています。
室外機にある圧縮機で冷媒が圧縮されると、高圧の気体へ変わり、温度が上がります。さらに冷媒が熱交換器で冷やされることで、温度が下がり、気体に変化。放出された熱は、熱交換器から外に熱風となって排出されます。
その後、冷媒は室外機の膨張弁で圧力を下げられ、低温の液体に変化。パイプを通って室内機に運ばれた冷媒が、室内の空気の熱を奪い、気化します。熱を奪われた空気が冷風として室内機から出てきたところで、再び冷媒は室外機に戻りに圧縮機で圧縮されます。この流れを繰り返し、部屋の空気を冷やす形です。
関連記事:熱交換器が活躍!エアコンの冷暖房の仕組み
エアコンにメンテナンスが必要な理由
エアコンには、定期的な掃除やメンテナンスが必要です。その理由を解説します。
フィルターが汚れると運転効率が下がるから
エアコンの室内機のフィルターは、吸い込んだ空気の汚れやほこりを取り除く役割があります。
フィルターに汚れやほこりがたまると、フィルターが詰まり、エアコンの運転効率が低下。エアコンのききが悪くなるので、設定温度や風量を強くする必要があり、電気代が高くなることがあります。温度や風量を強くすると、大きなパワーで運転する必要があるため、運転音が大きくなる傾向も見られます。
定期的なメンテナンスにより、運転効率を回復し、運転コストを下げることが可能です。
汚れは不快なニオイの原因になるから
掃除をせずにエアコンを運転すると、汚れやほこりがエアコンの風とともに放出されます。たまった汚れは、不快なニオイが発生する原因となり、部屋中に不快なニオイが漂うことがあります。
また、エアコン内部には湿気が溜まりやすく、カビが発生しやすい環境です。そのままにしておくと、健康にも影響する可能性もあるので注意が必要でしょう。
フィルター汚れは故障の原因になるから
ホコリや汚れは、フィルターを詰まらせるだけではありません。室内機内部の部品に付着したり、水を排出するドレンホースを詰まらせたりします。
運転効率を下げるどころか、通常の送風や温度調整など稼働自体が難しくなるかもしれません。特にドレンホースの詰まりは排水を妨げ、機器の故障にもつながりやすいです。
エアコンの掃除方法
エアコンの掃除方法は機種によっても違いますが、おおむねの手順は共通です。ここでは一般的なものを紹介します。
室内機のフィルターの掃除
長く使っていると、フィルターに汚れやほこりが付着します。まずは機種の推奨手順に従ってフィルターを外し、付着している、汚れやほこりを取り除いてください。
一般的なフィルターは水で洗えるため、ほこりを表面から掃除機で吸い取ったら、裏面から水洗いして乾かすことでメンテナンスできます。
フィルターの掃除は2週間に1度くらいするのがおすすめです。
室外機やドレンホースの掃除
エアコンの掃除といえば、室内機を浮かべる方がほとんどではないでしょうか。ですが実は、室外機やドレンホースも掃除は必要です。
室外機は外に設置されることを前提に設計されているので、汚れなどには強くできています。吸い込み口や室外機の上部についている汚れを掃除するようにしましょう。
特にドレンホースの詰まりは、排水を妨げる原因となります。掃除の際は、ドレンホースが詰まっていないか確認するようにしましょう。
室内機の内部洗浄は専門業者に
室内機の内部は複雑な構造になっているため、ご家庭での掃除はおすすめしません。無理に掃除をしようとすると、故障の原因にもなりかねません。
もしメンテナンスしたい場合は、エアコンの掃除業者や購入した販売店に掃除を依頼するようにしましょう。
まとめ
この記事では、エアコンの概要、クーラーとの違い、仕組み、掃除やメンテナンスの重要性、掃除のコツについて説明しました。エアコンの歴史が古く、さまざまな形状のものが開発されてきました。今後さらに便利な機能を搭載したエアコンが開発されることが予測されますが、部屋を冷やしたり、温めたりする仕組みは基本的に同じです。
またエアコンを長年使っていると、効きが悪くなったり故障を招いたりする可能性があります。定期的なメンテナンスが大切です。
アルファラバルの熱交換器やヒートポンプによる排熱利用と省エネならMDI TOPへ戻る