2024.03.03

凝縮器(コンデンサ)とは?仕組みと種類を詳しく解説

凝縮器(コンデンサ)とは?仕組みと種類を詳しく解説

日常生活から産業用途にいたるまで、私たちの身の回りにはさまざまな形で凝縮器(コンデンサ)が活躍しています。

凝縮器の基本的な仕組みは、気体を冷却して液体に変化させ、このプロセスで熱を放出するというものです。この原理を利用して、冷蔵庫やエアコンなどで熱の管理がおこなわれます。

そこでここでは、この凝縮器の基本的な仕組みや、その種類と特徴について、わかりやすく解説します。

凝縮器とは?

凝縮器とは、気体を冷却して凝縮し、液化する装置のことです。「コンデンサ」とも呼ばれます。

熱交換器(温度の異なる流体間で熱を伝達させる装置)の一種であり、気体を冷やす際にその熱を放出することで液体に凝縮させるプロセスに利用しています。

凝縮器の主な役割は、圧縮・蒸発で発生した気体の冷媒を冷却して、液体の冷媒液に変えることです。冷蔵庫や空調システム、発電所などあらゆるところで採用されています。

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凝縮器の仕組み

凝縮器は、冷凍サイクルや冷却システムなどで、蒸発器や圧縮機と一緒に使用されることが多いです。そこでここでは、凝縮器が蒸発器とともに使われる場合を想定し、仕組みや役割について紹介します。

そもそも自然の原理として、液体を気化すると周囲から熱を奪い、気体を凝縮すると熱を放出します。この現象は、身近でもよく見られます。例えば、汗が肌の表面で蒸発する際には、肌の熱を奪って気化し、その結果として体を冷やす効果があります。逆に、吸湿発熱素材の衣類は肌から蒸発した水蒸気を細かい水滴にする過程で熱を放出し温かいと感じます。まずはこの自然現象が大前提としてあります。

  • 液体から気体になると周囲から熱を奪う
  • 気体から液体に凝縮すると熱を放出する

関連ページ:気化熱の仕組みを知ろう!どんなところで使われている?

熱は高い温度から低い温度に移る性質があります。例えば、氷の入ったコップを手に持つと、手の温度がコップの温度よりも高いため、熱は手からコップへ移動します。この結果、手は冷たく感じられ、逆にコップの温度は徐々に上昇します。このように、熱の移動は物体間に温度差があることによって生じます。

  • 熱は高いところから低いところへ移動する
  • 熱を移動させるには、温度差がある物体同士を接触させておく

関連ページ:温度が高い方から低い方へ熱が移動する理由

氷の入ったコップを手で長時間続ければ、手とコップの温度は均一化します。しかし、もしさらに手の温度を下げ続けたい場合、どうすれば良いでしょうか?

考えられる方法としては、常にコップの冷たさを保つことです。こうすれば理論上、手の温度は下がり続けます。実際に装置でおこなうためには管を使います。管に冷却液(冷媒)を流し続け、物体と接触させておくことで、その物体の温度を下げ続けることができます。

  • 接触する物体(ここではコップの水)の冷たさを保てば、温度を継続的に下げられる
  • 冷たさを保つためには管に冷媒を流し続ける

この「管を使って物体の温度を下げ続ける」という流れを効率的におこなうためには、気体を液体にする凝縮器と、逆に液体を気体にする蒸発器を使用します。この2つの装置を使うことで、継続的に物体を冷却し続けることができ、このことを冷凍サイクルと呼んでいます。このように、凝縮器と蒸発器は冷凍サイクルに必要不可欠な装置です。

  • 凝縮器と蒸発器を使用することで継続的に冷却できる
  • エアコンなどは熱のやりとりを利用した仕組み

凝縮器の種類

使用する冷却媒体や構造の違いによって、凝縮器にはいくつかの種類があります。そこでここでは、その代表的な種類を取りあげ解説します。

空冷式

空冷式凝縮器は、外部の空気を冷却媒体として利用するタイプです。メンテナンスが比較的簡単であることなどから、小規模な冷蔵庫やエアコン、小型の冷凍機などに使用されています。仕組みとしては、ファンを使用して外部から空気を取り込み、その空気を凝縮器に通過させることで、蒸気を冷却し液体に凝縮させます。変換効率は外気温に依存するため、高温多湿の環境下では通常、性能が低下します。

メリット
水冷式と異なり、冷却水の処理や循環システムが不要なため、メンテナンスが比較的簡単なことがメリットです。初期費用や運用コストも低く抑えることができます。

デメリット
空冷式は外気温に依存するため、夏季や高温多湿の地域では冷却効率が低下する点がデメリットです。また、ファンやモーターを使用するため、騒音が発生する点もデメリットとして挙げられます。

水冷式

水冷式凝縮器は、水を冷却媒体として利用するタイプです。冷却効率が良いため、大型の冷蔵庫や工業用冷却システムなど、大規模な設備に使用します。仕組みとしては水が管状の構造を通過する際に、管内を流れる蒸気と熱交換を行い、蒸気を冷却して液体に凝縮させます。構造はさまざまで、多数の管を持つシェル&チューブ型や、よりコンパクトなプレート型などがあり、どれも熱交換効率を高めるために工夫されています。

メリット
水冷式凝縮器の最大のメリットは、高い冷却効率です。水は空気よりも熱容量が大きいため、空冷式と比較して同じ量の熱をより効率的に取り除けます。また、冷却水の温度は空気と違って制御しやすいため、精密な温度管理が求められる場合にも有効です。

デメリット
デメリットとしては、メンテナンスの手間が挙げられます。例えば、水質が悪ければ腐食の原因となり、これに対処するためにさらに追加的な設備が必要です。また、空冷式と比較して、初期投資費用も高くなります。

蒸発式

蒸発式は水冷式の一種ですが、冷却メカニズムが通常の水冷式と異なります。蒸発式凝縮器は冷却水を霧状に噴霧して、その蒸発を利用して、蒸気を冷却し凝縮させます。蒸発による冷却効果は非常に高く、効率的な冷却が可能です。利用されるシーンとしては、大規模な産業施設や発電所などにある冷却塔が挙げられます。

メリット
最大のメリットは、高い冷却効率です。水冷式と比較して、少ない水量で熱を効率的に除去できます。結果として、水資源の節約に役立ちます。乾燥した地域や水不足が問題となる地域での使用に適しているといえます。

デメリット
デメリットは、湿度が高い環境では冷却効率が低下する点です。また、水の蒸発によるマグネシウムなどミネラルの濃縮により、腐食のリスクなどもあります。

凝縮器の使用例

ここでは、凝縮器がどのような物・設備に使用されているのか具体例を挙げて解説します。

冷蔵庫

冷蔵庫の冷却サイクルにおいて、凝縮器を使用しています。冷蔵庫の冷却サイクルでは、冷媒が圧縮機で圧縮され高温高圧の気体となり、凝縮器で冷却され液体に戻ります。その後、膨張弁を通過した冷媒が蒸発器で蒸発し、冷蔵庫内の熱を吸収して冷却効果を発揮します。この冷却サイクルを繰り返すことで、冷蔵庫内部を冷やし続けます。

関連記事:冷蔵庫が冷える仕組みとは?ヒートポンプの構造や冷却方式も解説

空調システム

空調システムの冷房サイクルにおいても、凝縮器を使用しています。空調システムにおける凝縮器の働きは、高温の冷媒気体を冷却して液体に変え、熱を外部に排出することです。凝縮器はこのサイクルにおいて、冷媒を冷却し熱を放出する重要な役割を担っています。

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まとめ

凝縮器の基本的な仕組みについて解説しました。空冷式や水冷式、蒸発式など、それぞれにメリット・デメリットが存在します。冷蔵庫や空調システム、発電所などでは、そういった各方式のメリットとデメリットの両方を検討し、適切なものを採用しています。

今後も凝縮器の技術は進化し続け、私たちの生活をより快適なものに変えていくことになるかもしれません。

 

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