2024.10.05

工場の暑さ対策で効率を上げよう! 多角的な視点から行う対策を紹介

工場の暑さ対策で効率を上げよう! 多角的な視点から行う対策を紹介

工場内の暑さ対策は、従業員の健康や生産性の向上だけでなく、機器の性能維持など、企業活動全般にかかわる重要な課題です。長時間、高温環境が続くとさまざまなリスクが生じるため、工場全体で積極的に暑さ対策に取り組む必要があります。

今回は、工場で実践できる暑さ対策とその重要性、そして注意点など解説します。

工場で暑さ対策をする重要性

工場内の暑さ対策は、従業員の健康や安全、機器の寿命を維持するなど、さまざまな点において重要です。これらの重要性を認識することで、暑さ対策に対しての見方も変わってきます。

従業員の安全

機械の熱などによって工場内は高温になりやすく、従業員は熱中症や熱疲労などの健康リスクがあります。熱中症は最悪の場合、死にいたる可能性があり対策が必要です。また、軽度であっても生産性を著しく低下する原因になります。

特に、高温多湿の環境下や熱を発生する機器の近くでは、熱ストレスのリスクが高いです。そのため、暑さ対策は、作業者の安全と健康を守るために重要です。

生産性の向上

研究によると、室温が25度から26度に上昇すると作業効率が約2%低下し、逆に20度から25度への上昇でタイプミスが約44%減少したという結果が出ています。工場での適温は作業強度により異なりますが、一般的に内勤者は25.3度、外勤者は24度台を快適と感じる傾向があります。

定着率の向上

暑く不快な職場環境は、従業員の離職を招く可能性があります。特に近年は、人材獲得競争が激しくなっているため、快適な職場環境を提供することは、従業員の定着率を高めるうえで重要です。

機器故障の防止

電子機器は、高温にさらされると性能が低下したり、故障したりするリスクがあります。熱による機器の故障は、内部的な損傷であるため発見が難しく、気づかないうちに生産性の低下を招く こともあります。

逆に、適切な温度管理を行えば機器の寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減し、生産ラインの安定稼働を確保することが可能です。

工場ができる暑さ対策の種類

工場の暑さ対策は主に「環境への働きかけ」「設備の活用」「従業員への対応」の3つに分類されます。それぞれの概要や対策例は次のとおりです。

  • 環境への働きかけ:工場全体の温度上昇を抑え、快適な作業環境を作ります。具体的には換気システムの改善や太陽光の遮断などが挙げられます。
  • 設備の活用:何らかの設備を活用し、特定箇所の温度を効率的に管理します。具体的には、スポット冷却システムの設置やLED照明の使用などが挙げられます。
  • 従業員への対応:従業員に対して直接働きかける方法です。具体的には、通気性の良い作業服や冷却ベストの支給などが考えられます。

工場の暑さ対策

高温が続く工場では、従業員の健康や生産性、機器の寿命などに影響を与えることがあります。そこで、工場で実践できる効果的な暑さ対策を解説します。複数の対策を組み合わせることで、より良い効果を出すことができるでしょう。

換気の促進

効果的な換気システムを導入し、工場内の熱気を排出します。こうすることで、工場内の温度を下げる効果があります。

通常、工場内の設備や機械は多くの熱を発生します。そして、この熱がこもると、工場全体の温度が上昇します。換気システムは、この熱気を外部に排出し、新鮮な空気を取り込むことで、温度上昇を抑制することが可能です。

具体的には、大型のファンや排気装置を設置し、熱気を排出するなどの方法が考えられます。また、空気の流れを良くすることで、従業員の体感温度を下げる効果もあるため、快適性向上にもつながります

スポット冷却

冷却システムを設置することで、工場内の暑さを効果的に下げることができます。設置場所として最適なのは、高温になりやすい場所や、作業員が長時間滞在する場所です。

このような場所に冷却装置を設置することで、作業環境を大きく改善できます。また、スポット冷却は、工場全体を冷却するよりも効率的で、エネルギー消費量を抑えることも可能です。

例えば、暑熱対策用除湿冷房熱交換器の「下げろ!デマンド君 HYPER」は、チラー水を使用したとしても、エアコンと比べ18~30%程度の消費電力を削減することができます。

遮熱塗料の使用

工場の屋根や外壁に遮熱塗料を塗布することで、建物内部への熱の侵入を効果的に抑制することができます。遮熱塗料は太陽光を反射し、建物の表面温度の上昇を防ぐ効果があります。

これにより、工場内の温度上昇を抑え、冷房設備の負荷を軽減することができます。結果として、エネルギー消費量の削減にもつながり、コスト面でも効果的です。また、遮熱塗料の使用は、製品品質の維持や設備の加熱防止にも寄与し、生産効率の向上にも貢献します。

特に大きな屋根面積を持つ工場では、遮熱塗料の効果が顕著に現れ、夏場の室内温度を数度下げることが可能です。これは作業環境の改善だけでなく、熱中症リスクの低減にも効果的です。

湿度管理

湿度管理は、工場内の快適性を向上させるのに有効です。高温多湿な環境では、体感温度が上昇し、汗が蒸発しにくくなります。これにより、従業員は不快に感じやすくなり、熱ストレスのリスクも高まります。

窓の遮光

工場内への太陽光の侵入を防ぐことができれば、温度上昇を抑制することができます。太陽光が直接窓から差し込むと、建物内部の温度が上昇しやすくなり、特に夏季には熱ストレスの原因となります。

そこで、遮光フィルムを設置するなどの対策を施すことで、建物内部への太陽光の侵入を低減することが可能です。また、遮光対策は空調設備の負荷を減らし、エネルギー消費量の削減にもつながります。

LED照明の使用

白熱灯よりも温度の低いLED照明を使用すれば、工場内の熱発生を抑えることができます。白熱灯は、消費電力の大部分を熱として放出しますが、LED照明は効率的に光を生成することができ、発熱量が少ないという特徴があります。

そのため、工場内の照明をLEDに変更し、熱源そのものを減らすように工夫すると良いでしょう。

休憩スペースの設置

エアコン完備の休憩室を設けることで、従業員の体を冷やし、熱ストレスを軽減するのに役立ちます。工場内は通常、高温の作業環境のため、従業員は強い熱ストレスにさらされています。

そこで、休憩時間で使う場所は、適切な温度にし、疲労を回復させるようにします。快適な休憩スペースを確保することは、熱で火照った従業員の体温を下げるだけでなく、熱中症のリスクも減少させます。

冷却機能の高い作業服を使用

軽量で通気性の良い作業服や冷却ベストなどを使用することで、作業者の熱ストレスを軽減することができます。特に、熱を帯びやすい作業環境や、重い保護具を着用する必要がある場合などは、冷却機能の高い作業服が役立ちます。

また、これらの作業服は、熱中症や熱疲労を低減するだけでなく、作業者の快適性を向上させるため、作業効率の向上にもつながります。

工場内の暑さ対策で注意すべき点

工場内の暑さ対策をとる一方で、従業員に熱中症などの兆候が見られるときは、迅速な対応をとる必要もあります。そこで、安全な職場環境を作るための注意点を挙げ解説します。

体調不良者の早期発見

工場で暑さ対策を行うだけでなく、従業員が熱中症の兆候を示していないかを常に確認することが重要です。早期に兆候を発見することで、重症化を防ぐことができます。

具体的には、従業員に対し、過度の発汗やめまい、頭痛などの熱中症の初期症状を周知させ、これらの症状が現れた際には、速やかに報告するよう指導することが効果的です。

緊急時の備え

熱中症が発生した場合に備えておくことも必要です。例えば、緊急連絡先リスト(救急車、病院、社内担当者など)、応急処置の手順、冷却場所の確保、救急搬送の手順などをマニュアルとして記載しておきます。

また、マニュアルは計画的に見直し、従業員への訓練をおこない、だれもが迅速に対応できるように準備をしておくと良いでしょう。

まとめ

工場の暑さ対策は、従業員の健康と安全を守るだけでなく、生産性向上や機器の保護、人材の定着にも役立ちます。環境への働きかけや設備の活用、従業員への対応という3種類を組み合わせた総合的な対策を講じることで、快適な工場運営が可能になります。

さらに、適切な暑さ対策は省エネにも大きく貢献します。遮熱シートの使用や断熱材の導入により、建物内への熱の侵入を抑え、空調負荷を軽減できます。これにより、エアコンの使用頻度や稼働時間が減少し、エネルギー消費量とコストの削減につながります。

暑さ対策は短期的な問題解決にとどまらず、従業員の満足度や設備の寿命を延ばすといった中長期的な利益をもたらす重要な施策と言えます。同時に、これらの対策は企業の環境負荷低減にも寄与し、持続可能な経営を支える重要な要素となります。省エネ効果による運用コストの削減は、長期的な経営の安定性にも貢献し、企業の競争力向上にもつながります。

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