工場の暖房効率を高めるには?寒さ対策の基本を解説
冬の工場は室温が低く、労働環境が悪くなりがちです。ほとんどの工場には空調設備などの暖房が入っていますが、それだけでは寒さ対策が万全とはいえません。
現場で働く従業員が体調を管理し、作業効率を上げるには、暖房効率を高める必要があります。
この記事では、冬の工場の暖房効率を高めるために知っておきたい、寒さ対策の基本を紹介します。
目次
工場が寒い理由
特に冬の工場は、室温が低くなる傾向にあります。ここでは、工場の中が寒くなりがちな理由について説明していきます。
工場は広く天井が高いため
工場は、部屋の面積が広く天井が高いのが一般的です。広い空間全体を温めるには膨大な熱エネルギーを放出できる暖房が必要になります。さらに、暖房をしても、暖かい空気は、上にあがってしまうので、作業を行う床付近は温度が低くなります。
工場は広く、天井が高いので、寒く感じやすいのです。
製品の品質を守るため温度を上げられない
工場で製造や保管されるものには、温度が上がると品質が劣化してしまうものがあります。
例えば、食品は、温度が高くなると腐る可能性があるため、食品を製造する現場では室温を上げられません。
他にもさまざまな製品を扱う工場で、製品・原材料を保管するため室温を上げられない場合があります。
寒くなりやすい環境に立地しているため
工場は広い敷地を必要とし、排煙や騒音の問題が発生する可能性があるので、立地環境には細心の注意を払う必要があります。そのため、基本は周辺に何もない郊外に建設されることが多いです。周囲に何もない郊外は、風を遮断するものが何もないため、街中よりも気温低い傾向にあります。
特に山間部にある場合は自然の影響を受けやすく、工場内であっても寒く感じることも多いでしょう。
工場の床が熱を逃しやすいため
工場の床は、熱を逃がしやすい素材が採用されている傾向にあります。
一般的には、メンテナンスのしやすさを重視しコンクリートで作られていることが多いです。コンクリートは熱を伝えやすく、温めても、熱を外に逃してしまいます。一度冷えると冷たさを長時間保持する特性を持っており、その中で作業していると寒さを感じやすくなるでしょう。
工場が寒いと起きる弊害
工場の室温が低く、寒いとさまざまな弊害が起きます。ここでは寒さから生じる弊害について説明します。
従業員が体調を崩しやすく、ミスや事故につながる
工場が寒いと、工場で働く作業員が体調を崩しやすくなります。これは、体が冷えると体力が奪われ、免疫力が低下するためです。免疫力が低下すると、風邪など引きやすくなります。
寒さによる体の冷えは、注意力を低下させます。注意力の低下は、大きなミスや怪我につながる事故が発生しやすくなる原因になります。従業員の仕事に対する意欲も上がりにくく、なかなか作業がはかどらない傾向になりがちです。
作業効率が下がる
寒いと体に負担がかかり、思考力や集中力が低下します。それらが低下すると、作業の生産性は低くなり、作業効率は低くなるでしょう。
また、寒いと手がかじかんでしまい、思ったように指先が動かせず、作業の精度がおちることも考えられます。
会社が実施できる工場での寒さ対策
工場の寒さ対策は、会社が実施できること、個人で実施できることに分けられます。まずは会社で実施できる寒さ対策を紹介しましょう。
ビニールカーテンの設置
工場は広い空間で、暖房しにくい構造になっています。ビニールカーテンは空間を間仕切りができ、空気の移動を遮断できます。工場の広い空間を仕切れれば、暖房設備を効果的に使用することができ、工場内の気温を高められます。
ビニールカーテンは設置や取り外しが簡単という特徴があります。そのため、専門業者による大掛かりな工事も不要なので、設置を低コストで行えるでしょう。
断熱対策をする
断熱していない建物は、外と室内が壁1枚で隔てているだけですので、外の寒さが直接伝わってしまいます。暖房しても効果は薄く、室温を上げるのは難しいでしょう。
そのため、工場が断熱していない場合は、壁や屋根の熱を遮るよう対策を実施するのがおすすめです。外気温の影響を受けにくくなるだけでなく、暖房で温めた熱が外に逃げません。また、夏の暑い時期にも効果があり、空調効率が高くなります。電気代の削減にも効果があるでしょう。
断熱対策の代表的なものとして、断熱材があげられます。壁や天井に施工する際は、工場の稼働を止める必要がないので、業務に支障がでにくいケースが多いです。
保温エリアを設置する
工場が広く、暖房で全体を温めることが不可能な場合、保温エリアを設置するのもおすすめです。保温エリアとは、先ほど紹介したビニールカーテンなどで仕切ったエリアに、ストーブなどの暖房機器設置した、暖かい空間のことです。
ストーブもビニールカーテンも設置が簡単なので、すぐに導入できるでしょう。ただし場所やレイアウトをうまく選ばないと、業務に支障が出たり、何らかの事故やトラブルにつながったりするかもしれない点には注意が必要です。
足元にクッションシートを設置する
工場の床にクッションシートをしけば、寒さを軽減できます。
大半の工場の床がコンクリートでできています。電熱効果が高く、温めてもすぐに熱を逃す性質を持つため、足元が冷たくなりがちです。クッションシートを敷けば、足元からくる冷えが体に直接伝わることを防ぎ、寒さをやわらげます。
ただし環境によっては導入が難しいケースも少なくありません。
個人が実施できる工場での寒さ対策
ここからは個人でできる、工場の寒さ対策を説明します。
保温性の高い素材の服を身につける
保温性の高い服を身につければ、体温を下がらないので、寒さを感じずに作業を行えます。
厚手の服を着れば、寒さも軽減できますが、体を動かしにくくなりますので、フリースや裏起毛になっており、厚さの割に温かい構造を選ぶのがおすすめです。
ただし職場によっては、制服があり、アウターを自分で選べないという場合もあるのではないでしょうか。そんな時に取り入れやすいのが、防寒機能の高いインナーです。保温効果があるタイツや肌着を身につければ、工場の寒さを軽減できます。さまざまな製品がありますので、自分に合ったものを着用しましょう。
使い捨てカイロを使用する
冬の寒さ対策の定番、使い捨てカイロもおすすめです。貼るタイプを衣類に貼る、ポケットに入れるなどで、使用している人も多いでしょう。
カイロで温める場所としておすすめなのが、みぞおちより下です。みぞおちより下に張ると体に負担なく寒さを軽減できます。逆におすすめできない箇所は、心臓近くで、体に負担が生じる恐れがあります。特に、心臓が弱い人や、血圧の高い人は要注意です。
ヒーターを内蔵した服を身につける
電気で温められるヒーター入りのアウターなど販売されています。電池が内蔵されている充電式のものは、自由に動け、問題なく作業できます。
しかし、電池が内蔵しており、発熱のリスクがあります。工場の環境によっては大事故につながりかねません。施設によっては着用許可が出ない場合も考えられます。
事前に使用可能かどうか、工場の責任者に確認するようにしましょう。
まとめ
工場は面積が広かったり、製品の品質保護のため温度を上げられなかったりして、寒くなりがちです。寒すぎる環境では、作業者の体調の悪化や生産性の低下など弊害が起こるかもしれません。
寒さ対策は、会社が実施できること、個人で実施できること、さまざまなものがあります。適切に実施し、作業者が快適に働ける労働環境を整えることが重要です。
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