2025.02.07

メタンとは?温室効果との関係や対策をわかりやすく解説

メタンとは?温室効果との関係や対策をわかりやすく解説

メタンとは、良く燃える特徴を持ち、天然ガスの主成分になる気体です。

発生原因は自然由来と人間活動由来の2つがあります。

メタンは化学製品の原料になったり、輸送関連の燃料になったりなど、現代の人類の生活を維持する上で必要な気体です。しかし、地球温暖化の原因になる温室効果ガスでもあり、国際的に削減する取り組みがすすんでいます。

本記事では、メタンの発生原因や使用例、地球温暖化との関係性などをわかりやすく解説します。

メタンとは

メタンとは、化学式でCH4と表記する炭化水素化合物の1つです。良く燃える特徴を持っており、天然ガスの主成分でもあります。

自然界に多くの発生源がありますが、人工的にも作り出すことが可能な気体です。

大気中のメタンの約9割が、OHラジカル(活性酵素の1つで強い酸化力を持ち、反応性の高い不安定な分子)と反応して、消失するとされています。

メタンの主な発生源

メタンの発生源は、自然界からと、人間活動からの2つのパターンがあります。

自然界由来の原因は、主に湿地や反芻動物、シロアリなどです。人工的な排出は、水田、家畜、埋め立て、化石燃料の採掘時など多方面にわたります。

現在の発生原因は約4割が自然界から、約6割が人工的な大量排出だと算出されています。発生原理は、空気のない環境でのメタン生成菌による有機物分解です。

例えば、湿地で水草が枯れて水中に溜まり(空気がない状態になる)、生成菌によって分解されて発生するなどです。人工的な排出の場合、化石燃料の採掘時に地中から漏れ出すといった例があります。

メタンは温室効果ガス

メタンは生活や工業でなくてはならない気体ですが、温室効果ガスとしての側面もあります。

温室効果ガスとは、本来宇宙に逃げるはずだった地表の熱を吸収し、再放出することで、気温を上げる役割をする気体のことです。このガスが一定数あることで、生物が暮らしやすい気温を保っています。しかし、増えすぎてしまうと気温が高くなりすぎて、気候変動や疫病のまん延など、生物にとって生活できなくなる環境になる危険性があります。

実際にメタンはCO2の次に量の多い温室効果ガスに分類され、2017年時には、大気中の濃度が産業革命以前より1.5倍に増加したというデータがあります。

参考:国立環境研究所

化石燃料の採掘や利用時に大量に漏出したり、人口増加に伴って畜産が広がったりなど、人工的な排出が増加の原因です。

メタンの温室効果はCO2の約28倍

メタンはGWP28と計算されており、CO2より約28倍の温室効果があります。

GWPとは地球温暖化係数と呼ばれており、CO2を「1」の基準として、100年間でどのくらい温室効果があるかを示す数値のことです。

大気中での寿命は約12年と短めです。温室効果ガスには寿命が100年を超えるものもあるため、比較的短いといえるでしょう。しかし、GWPが高いため、温暖化の大きな原因になります。

排出を抑えるためにも、新たな技術の研究開発が進んでいます。

CO2を抑えるメタネーション

メタネーションとは、CO2と水素から人工的にメタンを合成する技術のことです。

メタネーションによって合成された気体は、「合成メタン」「カーボンニュートラルメタン」「e-methane」などと呼ばれます。

原料となるCO2は、工場施設などから排出されたものを回収して再利用します。また、水素も水を電気分解することで入手可能です。水素を作り出すための電力は、風力などの再生可能エネルギーでまかなえば「グリーン水素」となり、さらに環境負荷を減らせるでしょう。

メタネーションで作り出した合成メタンは、そのまま利用できるため、都市ガスに利用したり、工業の燃料にしたりすることが可能です。また、合成した気体を燃焼させるとCO2が発生しますが、原料に再利用したCO2を使用しているため、排出量は相殺され、実質ゼロと想定できます。

メタネーションはCO2排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル手法として、環境配慮につながる技術といえるでしょう。

CO2を抑える以外のメタン削減のメリット

メタンを削減するメリットはいくつかあります。また、地球温暖化防止のために、早急に取り組まなければならない課題の1つでもあります。

2022年には、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、2030年までに排出量を2020年比の3割ほどの削減を目標とし、100か国以上が賛同しました。

ここでは、削減のメリットについて解説します。

産業の技術革新や効率化の促進

メタン削減のための手法を研究することで、技術革新や効率化を促進させることが可能です。

例えば畜産業の場合、飼料にカギケノリという海藻を混ぜることで、牛のゲップのメタン量が減少することがわかりました。また、牛の体重増加も確認され、効率的な畜産方法として実用化に向けて研究が進んでいます。

また、水田に関しても、日本で行われている一旦水を抜く「中干し」を行うことで、土壌に空気が入り、ガスの生成が抑えられることが確認されました。そして中干しを行うことで、収穫量も増えると期待が高まっています。

メタン削減の研究や技術開発は、産業の効率化を伴う結果が出ており、これからも他の分野で広く研究が進んでいくと予想されます。

地球温暖化の減速

メタンを削減することで、温暖化が進むスピードを遅らせることが可能です。

強い温暖化作用のあるガスのため、大気中の濃度が高くなると、更に温暖化を進めてしまいます。

一方、削減できれば温室効果が下がるため、温暖化の進行スピードを食い止めることが期待できます。

気候変動の転換点リスクの低減

メタンを削減して地球温暖化の進行スピードを緩められれば、気候変動の転換点リスクを下げることにつながります。

気候変動の転換点とは、温暖化による影響で少しずつ変化していったものが、あるところを境に急激な変動になってしまい回復不可能になるポイントのことです。気候変動の転換点を迎えてしまうと、今までは小規模な気候の変化だったのが、急に大きな変化となり、人類が危機に晒さらされてしまうでしょう。

例えば、巨大台風の発生が続発したり、氷河が融解し海水と混じることで海流が変わってしまったりなどです。自然災害が大規模化すると、住民が避難を強いられたり、食糧が手に入りにくくなったりなどの不都合が生じてしまいます。

メタンを削減できれば、気候変動の転換点リスクを低減できるといえるでしょう。

工場業界のメタン使用例

メタンの主な使われ方の1つは、火力発電のための燃料です。

エネルギー産業分野では、石炭や石油よりCO2の排出が少ないため、比較的クリーンな燃料として使用されます。また、ガソリンではなく液化天然ガス(LNG)を燃料とする自動車など、輸送用にも活用されています。

化学製品の基礎原料のメタノールの原料になり、プラスチック製品などに使われ、私たちの生活を支えている気体といえるでしょう。

まとめ

メタンとは、天然ガスの主成分で良く燃える特徴を持った気体です。

工場業界では、メタンはメタノールの原料になり、化学製品などに加工されたり、燃料として輸送にも活用されたりしています。

しかし、CO2の約28倍の温室効果作用を持っており、温暖化防止のために削減目標が掲げられている気体です。

現在では人工的な排出が急増し、温暖化が進むと危惧されています。

そのため、近年では農業や畜産業界などで、排出量を削減する取り組みが研究され、技術革新が期待されています。

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