2020.08.12

熱交換器の配管内にスケールが 付着したらどうすればいい?

PHE汚れ

熱交換器を使用していると配管内にスケールが付着していきます。配管にスケールが蓄積すると、その性能を十分に発揮できず、設備や空調などが正常に機能しなくなる可能性があります。ですが配管を洗浄しても、スケールはなかなか落とせません。

この記事では、「なぜスケールが付着すると熱交換器の働きが悪くなってしまうのか」、「熱交換器にスケールが付着したらどうすればいいのか」などを見ていきましょう。

関連ページ:熱交換器とは何か?その基本的な仕組みと種類を紹介

 

 

熱交換器に付着するスケール

熱交換器を使用していると、設置当時よりも効率が悪くなった感じることがあるでしょう。そのようなときには、配管内にスケールが付着している可能性があります。

スケールとは、水に溶けているカルシウムやマグネシウムなどの物質が析出して固まったものです。配管内を通る水に不純物が溶けることで、濃度が濃くなり、溶けきれなくなったカルシウムやマグネシウムが析出します。

カルシウムやマグネシウムは、いったん析出してしまうと、自然と再び水に溶けることはなかなかありません。また、非常に堅い性質を保つのが特徴です。そのため、析出したスケールは排水管の内部に付着してしまいます。熱交換器の配管だけでなく、水道管の内部にもスケールが付着していることが多いです。

関連ページ:スケールって一体何? 発生する原因と除去方法を解説

 

スケールが付着する仕組み(メカニズム)

熱交換器には配管が使われており、その配管の中には流体が通っています。流体というのは熱を運ぶ役割をしている物質で、水が流体として使われていることが多いです。

熱は温度の高い方から低い方へ移動する性質があり、その性質を上手く利用して熱を運んでいます。熱い部分に冷たい水を通して冷やすと水は温められるでしょう。その水を、今度は温度の低い場所に流すという具合です。そうすると水と一緒に熱も運ばれてきます。稼働中に水が配管から出てくることは通常ありません。熱だけが配管の内側と外側を移動します。

熱交換器の流体に使われる冷却水にはカルシウムやマグネシウム、シリカなどのミネラル成分が溶けています。この冷却水は、古くなったら交換しますが、基本的に同じものを繰り返し何度も使用するのが一般的です。その間に冷却水は少しずつ蒸発し、ミネラル成分の濃度が濃くなります。溶けきれなくなったミネラル成分が析出して、配管内部に付着して固まったものがスケールです。

 

こんな兆候が現れたら要注意

スケールは配管の内部に蓄積するため、外側から見て確認することはできません。しかし、十分なメンテナンスを行っていないのであれば、スケールが蓄積しているものと捉えていいでしょう。

スケールが蓄積してくると、水が詰まりやすくなったり漏れてきたりするという兆候が現れます。これは、配管内部がスケールにより狭くなってしまうことで起こるものです。

また、熱効率が低下しているような様子がうかがえる場合でも、スケール蓄積の疑いがあります。これまで小さな温度差でも熱交換できていたのが、できなくなったような場合もスケールが蓄積している可能性が高いです。

 

 

熱交換器にスケールが付着するとどうなる?

熱交換器の配管には少しずつスケールが蓄積していきます。その影響で熱交換器が本来の性能を十分に発揮できず、生産効率が低下してしまうことも多いです。ここではスケール付着の影響を見ていきます。

 

配管内の流れの悪化につながる

熱交換器は、熱源が発している熱を配管内の水が吸収する仕組みになっています。熱は熱源から配管の壁に伝わり、そこから配管を通る水に伝わるという具合です。

配管の内側にスケールが付着すると、配管から水に熱が伝わる際に、スケールが邪魔をします。配管内が狭くなれば、それが原因で流れの悪化や詰まりなどを引き起こし、逆流してしまう可能性も考えられるでしょう。

また、スケールの蓄積が雑菌を繁殖させる原因になることもあり、衛生面での問題につながる可能性もあります。

 

スケールの放置はエネルギーロスにつながる

熱源と冷却水との間にスケールが入り込み熱の移動を妨げ、熱伝導も低下してしまいます。熱伝導が悪くなると、十分に温められなかったり冷やされなかったりというようなことが起こり、熱交換器の本来の性能を発揮できなくなってしまうのです。

スケールが蓄積した状態で熱交換器を使い続けると、エネルギーロスが増えてしまいます。スケールは熱を伝えにくい性質を持ち、これが配管内部に蓄積すれば、熱の移動を妨げるでしょう。本来なら運ばれるはずの熱が逃げてしまいます。

熱伝導をおこなう際に使用する燃料は通常よりも多く必要となり、無駄な燃料の消費にもつながります。熱交換器の消費エネルギーは、スケールの付着量に比例して上昇します。配管内部に付着しているスケールの厚さが0.5ミリ程度だと、消費エネルギーは通常の約6割増になり燃費にも悪影響です。

熱が足りなくて十分に加熱できないこともあるでしょう。逆に十分に冷却できないような事態に陥る可能性もあります。そうなると、生産効率が下がるばかりか、品質に影響が出てしまうこともあるかもしれません。

 

スケールが熱の移動を妨げる理由

配管の内部に外から不純物が入り込むことはありませんが、水に含まれる成分が元となり、スケールが発生します。スケールは配管の内部に付着し、少しずつ厚くなっていきます。そうなると、熱が移動する際に配管だけでなく、スケールの層も通過しなければなりません。熱が移動する際には間に入るものがあれば、それだけ移動が妨げられます。

それに加えて、スケールは熱伝導率が非常に低いのが特徴です。熱伝導率というのは熱の伝わりやすさを表す数値で、高いほど熱がよく伝わります。例えば銅なら約400、アルミニウムなら約230といった数値です。これに対して、炭酸カルシウムスケールなら約0.6、シリカスケールなら約0.3しかありません。

配管内にスケールが蓄積してしまうと、熱の移動がスムーズに行われなくなることで、熱交換器の性能を十分に発揮できなくなってしまいます。スケールの層が厚ければ厚いほど、この影響は大きいです。水の通り道も狭くなってしまうでしょう。

熱交換器を安定的に稼働させるには、定期的に配管を洗浄してスケールを取り除いておく必要があります。

 

 

スケールを除去するには

スケール蓄積による悪影響を防止するには、こまめなメンテナンスが必要です。熱交換器の配管は定期的に洗浄してスケールを除去しておきましょう。ただし、スケールは非常に硬く配管の内部に強固に付着しています。

ですがスケールが付着した部分はコンクリートのようにかなり強力に固まっています。ブラシやタワシなどで擦ったくらいでは取り除くことはできませんし、通常の洗剤を使った場合でもほとんど効果はありません。

スケールはその性質上、通常の洗剤ではなかなか落とせないため、専用の洗浄液を使用するのが一般的です。多くの水スケールは、強酸性の洗浄液で落とすことができます。ただし、強酸性の洗浄液は、危険度も高いため注意深く扱わなければなりません。

そして、スケール専用の洗浄液の中でも、例えば、塩酸ベースのダイナミックデスケーラーやリン酸ベースのデスケール518などです。いずれも化学反応を利用してスケールを溶かして除去します。ダイナミックデスケーラーは、安全性が高く、一般の人でも扱いやすいのが特徴です。PH0.6ですが、素手でも触ることができるので万が一の被液時にも安心で、洗浄力も高いため短時間でスケールを簡単に除去できます。

関連ページ:ダイナミックデスケーラー(スケール除去液)商品詳細

 

 

まとめ

熱交換器を使用していると、どうしても配管の内部にスケールが付着してしまいます。スケールを放置しておくと、少しずつ厚くなって、熱効率の低下をはじめとしたさまざまな弊害の原因になることが多く、本来の性能を発揮できなくなってしまいます。

スケールは熱伝導率が非常に低く、熱がほとんど伝わらない物質です。このスケールが熱交換器の配管内部に蓄積すると配管の中と外での熱がなかなか移動できなくなります。これにより、熱交換器の性能が十分に発揮されなくなったり正常に機能しなくなったりすることも多いです。エネルギー消費量も増え、工場での生産効率が下がってしまうことも多いです。

もしやと思うような兆候があれば、一度配管を洗浄してみましょう。そして、定期的にメンテナンスをすることで良好な状態を保てます。

 

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