クーリングタワーとは？種類や仕組み、衛生管理についても解説
クーリングタワーとは、使用した冷却水を冷やし、再び利用できるようにするための設備です。これによって冷却水を廃棄せずに済むため、コストダウンと省エネルギーの両方を実現できます。
冷却水を冷却するときは、気化熱のメカニズムを利用しています。気化熱とは、水分が蒸発するときに周囲の熱を奪う現象です。
クーリングタワーの用途は多く、主に施設の空調設備や工場の機器の冷却、データセンターなどで使用されています。
今回の記事で解説しているのは、クーリングタワーの仕組みや種類、主な用途についてです。また、法律で義務づけられている衛生管理についてもふれています。
目次
クーリングタワーとは
クーリングタワーとは、空調設備や冷凍機などで使用された冷却水を冷やし、再利用できるようにするための設備です。熱交換によって熱を帯びている冷却水を廃棄せずに済むため、経済的かつ環境への配慮も実現できます。
クーリングタワーは気化熱のメカニズムを利用しています。気化熱とは、水分が蒸発するときに周囲の熱を奪う現象です。夏場の打ち水や注射を打つためにアルコール消毒をしたとき、皮膚にひんやりとした感覚があるのはこのためです。
クーリングタワーの水が汚れる理由
クーリングタワーに使われている水はよく汚れます。
そもそもクーリングタワーで冷却される水は屋外の空気に接しています。空気に含まれるゴミが少しずつ蓄積していくことで、水が汚れていきます。それに加えて、水が蒸発することで濃縮が起こり、水質悪化の原因になっていることも多いです。
クーリングタワーの水が汚れた状態のまま運転を続けていると、本来の性能を発揮できなくなることが多いです。冷却効果が下がってしまい、空調設備や冷凍機などが上手く機能しなくなってしまいます。水の汚れが酷くなりすぎると、目詰まりを起こして稼働が困難になることもあるかもしれません。ほかにもさまざまな支障が出ることも考えられるため、クーリングタワーは綺麗な状態を保たなければなりません。
そのためには定期的にメンテナンスを行う必要があります。主に汚れた水を排出して、新しい綺麗な水と交換する作業です。メンテナンス中はクーリングタワーの運転を停止しなければなりませんので、その間は空調設備や冷凍機なども使えなくなります。
クーリングタワーの仕組み
クーリングタワーは、大まかに4つの部品から成り立っています。
送風機
送風機は使用した冷却水を冷やすための部品です。外気を取り込んで冷却水に触れさせ、蒸発によって熱を冷まします。
送風機は冷却水を冷やすのに欠かせないパーツです。故障やトラブルが起これば施設全体に影響を与え、企業へのダメージは避けられません。ですから、必ず定期的なメンテナンスや点検をおこなってください。
上部水槽
上部水槽は充てん剤に冷却水または散布水を流すための水槽です。そのため、底面には小さな穴がいくつも開いています。
ただし、上部水槽は上面が開いており、直射日光が当たりやすく藻の発生が懸念されます。藻が発生すると底面に空いている穴がふさがり、目詰まりを起こすこともあるため対策が必要です。対策としては、防藻剤やスライムコントロール剤、上部水槽カバーの使用が挙げられます。
充てん剤
充てん剤はクーリングタワーのなかでも特に重要な部分です。冷却水が充てん剤を伝って流れていくときに外気と接触するため、冷却水の温度が下がります。充てん剤は凹凸のあるポリ塩化ビニールの薄いシートを貼り合わせて作られています。
下部水槽
下部水槽は、再利用する冷却水を一時的にためておく水槽です。ここから熱を冷ました冷却水が機器や設備に送られていきます。
下部水槽は冷却水をスムーズに循環させるための水量や水位を保つことが重要です。そのため、自動および手動の給水管、オーバーフロー管と排水管が設置されています。
クーリングタワーの種類
クーリングタワーには2種類あり、それぞれタワーの形状や冷却方式が異なります。
開放式
開放式のクーリングタワーは、外気と循環する冷却水が直接ふれあいます。冷却効率がよく、クーリングタワー自体もコンパクトです。ただし、外気に不純物が含まれていると水質に影響するうえ、冷凍機や付随設備のメンテナンスが求められます。
密閉式
密閉式のクーリングタワーは水が銅管コイルを通るため、外気と接触しません。
管内の水が汚れにくいため冷凍機の能力を長く維持でき、開放式と比較してメンテナンスの回数を抑えられるのがメリットです。
そのため衛生的な冷却水を必要とする施設で採用されています。
冷却水と外気の接触方法
冷却水と外気を接触させる方法は2種類です。
直交流型
直交流とは水を上から散水して、外気を横から当てて冷却する方法です。クロスフロー方式ともいい、水と空気が十字に接触することからきています。
外気の取り込み方にも種類があり、クーリングタワーの両側面から外気を取り込むタイプはダブルクロスフローといいます。そして片面から取り込むタイプはシングルクロスフローです。
向流型
向流型は空気と外気が向かい合って接触するため、カウンターフローともいいます。クーリングタワーの上部にある配管から散水して、タワーの下部から取り込んだ外気を当てて冷却します。
クーリングタワーの主な用途
クーリングタワーの主な用途は3つです。
空調
ビルの空調設備に使用されている中央空調システムでは、一般的に冷却水が使われています。
空調設備におけるクーリングタワーは、空調機や冷凍機と合わせて中央空調システムを構成する一部です。機器が一箇所に集中している中央空調システムは管理がしやすい点から、ショッピングモールや劇場、ホテルなどさまざまな施設で採用されています。
工業や産業
工業や産業でクーリングタワーを用いるメリットは、節水と環境への配慮を実現できる点です。
産業では地下水や河川水を冷却水として使用しているところが多いものの使用後は排水しているため、経済的とはいえません。
そして、産業はゴミ焼却や発電など私たちの生活に直結する部分を担う業界ですが、反面、環境問題への取り組みが求められる分野でもあります
ですからクーリングタワーを使用して排水を減らし、河川や地下といった自然環境への負担も軽減できれば企業のイメージアップも期待できます。
フリークーリング
フリークーリングとは、冬のあいだは冷凍機を使用せずクーリングタワーで冷水を製造するシステムです。クーリングタワーのみで冷却水を作るため、大幅な省エネルギーを実現できます。
ただし、生成される冷水の温度は外気の状態によって左右されます。そのため、採用しているのは冬季でも冷却負荷があるか、冷水の温度が高くても問題ないケースです。
また、開放式のクーリングタワーは冷却水が外気に触れるため冷却水に不純物が含まれることがあります。外気中に含まれる排出ガスや蒸発しきれずに残留しているシリカなどを含む冷却水が、プレート式熱交換器に触れると腐食や目詰まりの原因になります。
対策としてできるのは、密閉式のクーリングタワーを使用するか、冷却水の管理をしっかりおこなうことです。機器の内部を循環する冷却水が外気に触れないようにすることも検討してください。
クーリングタワーは衛生管理が必須
クーリングタワーは種類を問わず、衛生管理が法律で義務づけられています。
理由の1つとして挙げられるのは、レジオネラ菌の問題です。レジオネラ菌は土壌や沼に生息しており、土ぼこりを介してクーリングタワーに入り込む恐れがあります。人体にレジオネラ菌が取り込まれた場合、健康を害して命にかかわることもあり、たいへん危険です。
ですから、クーリングタワーは定期清掃や薬剤による殺菌などの衛生管理を必ずおこなってください。
また、厚生労働省のレジオネラ症防止指針では冷却塔と空調の外気取り入れ口は10メートル以上離すこととしています。十分な距離を取れない場合は、ルーバーを設置して対策します。
マルチサイクロンでクーリングタワーをメンテナンス
マルチサイクロンを使えば、空調設備や冷凍機を稼働させたままクーリングタワーのメンテナンスを行うことができます。
マルチサイクロンというのは、複数のサイクロンを備え付けており、水に含まれる異物を遠心力で分離させることができる装置です。クーリングタワーの中を循環している水をマルチサイクロンに通すことで、水に含まれた汚れが他の機器へ入り故障させるリスクを減らします。
また、分離させて取り除いた汚れを排出するときには、クーリングタワーの運転を止める必要はありません。汚れは短時間で排出できるため、メンテナンスにかかる時間が大幅に短縮できます。
関連ページ：WATERCO製 マルチサイクロン水処理用遠心分離器 商品詳細
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まとめ
クーリングタワーとは、空調設備や冷凍機などで使用した冷却水を再利用できるようにするための設備です。熱交換によってあたたまった冷却水をクーリングタワーで冷却すれば廃棄せずに済むため、省エネルギーやコストダウンを実現できます。
冷却水を冷やす方法は直交流型と向流型の2種類あり、冷却水に対してどのように外気を当てるかが異なります。
また、クーリングタワーも開放式と密閉式の2つがあり、これらのうちより効率よく冷却できるのは開放式です。衛生的な冷却水が必要なケースでは密閉式が適しています。
クーリングタワーで注意すべきは衛生管理です。冷却水にレジオネラ菌が入り込み、人の体内に取り込まれたとき健康を害するうえ命にかかわることもあります。そのため、定期清掃や薬剤による殺菌などの管理は必ずおこなってください。
マルチサイクロンを設置して水質管理を行うことで、水の汚れを簡単に取り除くことが可能になるのでメンテナンスが楽になります。ぜひマルチサイクロンの導入し、クーリングタワー定期的なメンテナンスを行ってみてください。
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