2024.02.15

圧力とは?応力との違いと圧力損失を防ぐコツを解説

圧力とは?応力との違いと圧力損失を防ぐコツを解説

圧力は、私たちの生活のなかでの発生しているありふれた力です。熱交換器を活用したボイラーをはじめ、大規模工場などでも広く活用されています。

どこでも目に入るありふれた力だからこそ、圧力を利用した機械や設備を作るときは、その仕組みをよく理解しておかなくてはなりません。

本記事では、圧力の基礎知識として、概要、応力との違い、設計の際に注意すべき圧力損失を防ぐコツを解説します。

圧力とは

圧力とは、物理において、単位面積に対して垂直に働く力のことです。一般的には、物体が他の物体を垂直に押すときにかかる力のことを指す場合もあります。単位は「Pa(パスカル)」で表します。

同じ重量の荷物でも受ける面積が異なれば圧力も変化し、計算する際は「圧力がかかる力」を「受ける面積」で割って求めます。実際に計算してみましょう。

40kgの荷物が床20㎠に置かれていたとします。その場合、以下のように計算します。

  • 40kg÷20㎠=2Pa

計算の結果、荷物によって生まれる圧力は20Paだと分かりました。では、面積が異なるとどうなるのでしょうか。次は、面積をそれぞれ10㎠・40㎠で計算してみましょう。

  • 40kg÷10㎠=4Pa
  • 40kg÷40㎠=1Pa

計算すると、床面積が狭い方がより強く圧力がかかっていることが分かります。

圧力に関する知識は、ポンプやシリンダーなど圧力を用いた機械製品を設計する際に必ず必要になる基本のひとつといえるでしょう。

圧力と応力の違い

圧力とよく似ているものに、応力があります。

応力とは、力を受けたものにおける負荷の大きさを指す言葉です。たとえば、棒の端を持って引っ張ったとします。この状態の棒を途中で仮想的に切ると、引っ張る力である外力に対して応力が発生します。これは、棒が静止しているためです。もし応力が発生していなければ、棒はゴムひものように簡単に伸びます。

ともに一方からかかる力に対して発生している現象ですが、力が働く位置や効果が異なります。

  • 圧力:物体に外からかかる力を指し、物体の表面に生じる力を表す
  • 応力:物体内部で力が働くことを指し、物体の内部に生じる変形やひずみを表す

圧力は物体にかかる害力の強さを考える際に使われる一方、応力は物体内部の力の分布や変形の状態を考える際に用いられます。物体にかかる力という点では似ていますが、実際は力の方向や考え方などが異なる点に注意しましょう。

圧力の種類

圧力には複数の種類があります。設計の際には、これらの違いを抑えておくことも大切です。

ゲージ厚

大気圧を基準として測定する圧力です。大気圧よりも高い圧力を正圧・低い圧力を負圧といいます。両方書かれるものがある場合、連成圧と呼ぶこともあります。ゲージ厚を示す場合、単位記号のあとに「G」の符号を付けるのが一般的です。

シールドゲージ圧

シールドゲージ圧はゲージ圧の一種です。一般的に使用されるゲージ圧はその場の大気圧が基準ですが、シールドゲージ圧は容器に封入した大気圧を基準とします。圧力センサーに悪影響のある高温・高湿度の環境での圧力測定に適しているのが特徴です。

差圧

差圧とは任意の圧力を基準として表示する圧力です。基準となる圧力の数値からの差を示しており、正圧と負圧の両方があります。専用の差圧計があり、基準点とする一点ともう片方の点を接続し、相対的な圧力の際を測定します。細かい違いが問題になるケースも多いことから、専用の細かい差圧を測定する機器もあります。

絶対圧

絶対圧は完全真空をゼロ基準にして表した圧力です。大気圧との差圧であり、負圧があります。工業的な場面だけでなく、天気予報の気圧予報でも使われているなど、身近な場面で活用されている圧力でもあります。単位記号のあとに「abs」の符号をつけて表すのが一般的です。

圧力損失とは

圧力損失とは、流体が装置の管などを通過する際に失うエネルギー量のことです。

圧力はさまざまな場面で活用されています。たとえば、ビルの空調や給湯設備であるボイラーもそのひとつです。ボイラーから遠い場所で空調や給湯設備を使ったとき、温かい空気やお湯がなかなか来ないと感じたことはないでしょうか。この現象が、圧力損失です。

圧力が低下することで、配管内の流量・流速も減少します。結果、「温かい空気やお湯がなかなか来ない」、「来てもボイラー室に近い場所に比べると量が減る」などの現象が起こるのです。

圧力損失の対応方法としては、損失分を取り除くことがベストです。しかしすべての機械や設備で実施するのは現実的ではありません。多くの場合、ポンプの元となる圧力を上げるか、ポンプそのものをパワーアップさせることで対応しています。

また、対応方法があるといっても、ポンプを動かすためのエネルギーやコストのムダにつながりかねません。圧力消失は、圧力を使った機械の設計や運用において、たびたび解決すべき課題となる現象です。

圧力損失の発生原因と解決のコツ

圧力損失はさまざまな原因で発生します。ですが、その主なものを知っていれば、設計の時点である程度対応することも可能です。圧力損失が起こる代表的な原因と、それを解決するコツを解説します。

配管経を細くした

配管が急に狭まった部分があると、流れの完成が働き管路面積よりも細くなってしまいます。その後流れは配管いっぱいに広がって流れますが、流れの拡大に伴って渦が発生し、圧力が損失してしまいます。この現象は縮流といい、圧力損失が起こる原因のひとつです。

縮流の発生を防ぐには、異なる配管経を過剰につなげないようにしなくてはなりません。

配管を曲げた

配管がまっすぐな場合、中を流れる物質は完成の法則に従いまっすぐに流れます。しかし、曲がり角では完成に逆らって方向性を変えられるため、その分のエネルギーが損失してしまいます。

これも圧力損失の原因です。曲がり角は多ければ多いほど圧力損失につながるため、設計の際は極力配管をまっすぐにすることが理想的です。

開閉バルブを取り付けた

開閉バルブも、圧力損失を招く原因です。ボールバルブのように、全開時は貫通構造になるものなら、圧力損失はほとんど気になりません。しかし、グローブバルブのように、全開時でも流路が曲がっているバルブは、曲がり角の部分で圧力が損失してしまいます。配管の曲がり角同様、開閉バルブもあればあるほど圧力損失を招いてしまう要因です。

流量計を取り付けた

流量計の一部には、流量を絞ることで検出するタイプがあります。このタイプの取り付けも圧力損失の原因です。圧力損失を招く流量計は、以下のものが該当します。

  • 差圧式流量計
  • カルマン渦式流量計
  • 羽根車式流量計

圧力損失を防ぎたい場合は、これらの流量計は避けた方がいいでしょう。圧力計には流路を操作しなくても測定できるものがあります。流量計を取り付けたい場合は、考慮したものを選びましょう。

まとめ

圧力や応力は、さまざまなところで活用されている力です。身近な機械や設備の設計でも欠かせないものでもあります。圧力や応力を用いた機械を設計する際は、それぞれの性質をよく理解したうえで活用しましょう。

また、大規模な機械や設備を設計する際は、圧力損失が起こる要素にも注意しながら設計しなくてはなりません。圧力損失はパイプやバルブひとつで発生します。設計の際は、圧力損失が起こる要因を極力減らすよう心掛けることがポイントです。

 

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