2024.06.04

ラジエーターとは?意味や種類・構造などの基本を解説

ラジエーターとは?意味や種類・構造などの基本を解説

ラジエーターは私たちの日常生活や産業において欠かせない存在です。工場の設備はもちろん、自動車やコンピューター、家庭の暖房に至るまで、さまざまな場所で使用されています。

そこでここでは、ラジエーターの役割や種類、そしてその構造について詳しく解説します。

ラジエーターとは?

ラジエーターは、液体や気体の放熱を目的とした熱交換器の一種です。主に、自動車のエンジン冷却や産業用機械の冷却、さらには建物の暖房などに用いられます。基本構造は管状であり、この管を通過する冷却液などの熱を周囲の空気に放出することで冷やします。

冷却目的でラジエーターを使用する場合、ラジエーターは直接的に熱源を冷やすのではなく、機器の内部を流れる冷却液を冷やすことで、間接的に温度を下げます。一方、暖房目的で利用する場合は、ラジエーターはボイラーなどの熱源から供給された温水や蒸気を利用し、建物内の空気を暖めるなどのように利用されます。

参考ページ:熱交換器とは何か?その基本的な仕組みと種類を紹介

ラジエーターの役割

ラジエーターの主な役割は、熱を帯びた機器の冷却や暖房をおこなうことです。例えば、熱いラーメンを想像してください。ラーメンは放置しておいても、いずれは冷めますが、早く食べたければフーフーと息を吹きかけ冷まします。このように息を吹きかけることで、ラーメンにある熱を外に逃がしています。ラジエーターもこれと同じように、機器が放出する熱を冷ます役割があります。ただし、機器はラーメンと違って熱源が箱に入っているため、ラジエーターを中心とした専用の仕組みが必要です。

なお、ラジエーターには放熱の役割がありますが、もし放熱しなければどのようなことになるのでしょうか。機器によって生じる問題は異なりますが、主に次の3つの問題が生じさせます。

  • 寿命が短くなる:特定の機器や部品が高温状態にさらされると、寿命が短くなることがあります。例えば、半導体などの電子部品は、温度に敏感なため過熱によって劣化が早まります。
  • 性能低下: 機器の温度が上がると、性能が低下することがあります。たとえば、コンピューターCPUが高温になると、処理能力が落ちます。
  • やけどする:機器や部品が異常に高温になり、万が一人がそれに触れてしまうと火傷をしてしまうことがあります。また、 過熱により火災などのリスクも高まります。

このようにラジエーターがなければ、さまざまな問題が生じます。こういった問題を防ぐために、ラジエーターが重要な役割を負っています。

ラジエーターの種類

ラジエーターにはさまざまな種類があり、その用途や構造によって分類されます。ここでは、その種類ごとに特徴をあげて解説します。

冷却方式による分類

冷却方式によって、ラジエーターは以下の2種類に分かれます。

水冷式

水冷式のラジエーターは、水や冷却液が発熱機器を流れ、熱を吸収し温度を下げます。その後、水・冷却液はラジエーターに送られ、ラジエーター内のフィンを通過する際に空気と接触し、熱が外部に放散。結果として水・冷却液にあった熱が冷まされます。

水冷式のメリットは、高い冷却効率と静音性が挙げられます。水は空気よりも熱伝導率が高いため、同じ体積でより多くの熱を運ぶことができます。また空冷と違ってファンが必要ないため、静音になっています。デメリットとしては、空冷式に比べて、漏れや凍結などの問題が発生しやすいため、メンテナンスに手間がかかります。

空冷式

空冷式ラジエーターは、石油コンビナートやゴミ焼却プラントなど大規模な熱を発生する施設で利用されています。身近な例としては、パソコンのCPUでも使われています。CPUで発生した熱はヒートシンク(熱伝導性の高いアルミニウムや銅でつくられている)と呼ばれる部品に一旦熱を集め、それをファンの風で空気中に放熱します。空冷ラジエーターのメリットとしては、水を必要としないため設置場所を選ばない点が挙げられます。ただし、性能面では一般的に空冷よりも、水冷の方が優れています。

通風方式による分類

通風方式によって、ラジエーターは以下の2種類に分かれます。

押込通風型

通風方式とは、ファンがどのように空気をラジエーターやヒートシンクに送り込んでいるかという、その「風の通し方」のことです。その中の1つである押込通風型は、ファンがラジエーターの前面に設置されているタイプです。メリットとしては、冷却効率が高いことが挙げられます。押込通風型は、空気の流れをラジエーター全体に均等に分配しやすいため、効率が良くなっています。主に空気の流れが制限されるような環境で冷却するのに、適しています。

吸込通風型

もう1つのタイプは吸込通風型です。押込通風型とは反対にファンがラジエーターの背面に設置されています。メリットとしては、ファンのノイズが少ないため、静音になっている点が挙げられます。熱源から離れた場所にラジエーターを設置できる場合は、この吸込通風型を使用することが多いです。

素材による分類

素材によって、ラジエーターは以下の2種類に分かれます。

アルミニウム合金製

ラジエーターの中には、アルミニウム合金を主材料として製造しているものがあります。アルミニウムは軽量でありながら熱伝導率が高いため、ラジエーターの素材として適しています。主に、自動車のエンジンや電子機器などに使われることが多いです。

銅を主要な材料としているタイプもあります。銅は熱伝導率が高いだけでなく、耐久性が優れており、アルミニウムに比べて安価なためコスト面でのメリットがあります。ただし、銅は重量が重いため、近年では軽量なアルミニウム製のラジエーターの方が好まれる傾向にあります。

用途による分類

用途によって、ラジエーターは以下の2種類に分かれます。

産業用

産業用ラジエーターは、製鉄所や発電所、化学工場などの産業施設で使用されています。産業用ラジエーターは、高温で稼働する機械から発生する熱を効率的に放散するために設計されています。産業用のため、耐久性と冷却効率を最重要視しているのが特徴です。素材としては合金などが使用されることが多く、こうすることで高い熱伝導率を維持しながら、耐久性を高めています。

自動車用

ラジエーターといえば、自動車やオートバイ用のものを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。自動車用ラジエーターは、自動車のエンジンを冷却するために利用されます。エンジンが稼働すると、燃焼によって大量の熱が発生しますが、この熱を排出してエンジンが故障しないようにしています。また、自動車では水冷式のラジエーターを使用しますが、オートバイでは空冷のものもあります。

コンピューター用

コンピューター用のラジエーターは、コンピューターのCPUなどの熱を冷却するために使用します。CPUは高速で動作するため、多くの熱を発生します。それを放熱しなければ、性能の低下や故障の原因となります。高度な処理が必要な「ゲーミングPC」というジャンルのコンピューターがありますが、これは冷却も効率的におこなわなければ性能の低下を招くため、高品質のラジエーターが使用されています。

暖房用

暖房用ラジエーターは、室内の暖房に使用されています。ボイラーなどの熱源から供給された温水や蒸気を内部に通すことで、その熱を室内の空気に放出し空間を暖めます。

家電製品用

冷蔵庫やエアコン、テレビなどにもラジエーターは使用されています。これらの機器が発生する熱を効率的に放散し、機能の故障を防いでいます。家電用ラジエーターは、消費電力を抑えるよう設計されているのが特徴です。

ラジエーターの構造

ここでは、ラジエーターの構造についてパーツごとに解説します。それぞれがどのような役割を果たしているのかを把握することが大切です。

フィン

ラジエーター内部を流れる冷却液や空気の熱を効率的に冷却するための薄い金属板のことです。フィンの材質や形状、配置の密度などは、ラジエーターの冷却性能に大きく影響します。

チューブ

ラジエーター内を流れる冷却液や温水が通る管状の部品のことです。チューブを通る液体は、その熱を周囲の空気に放散することで冷却され、熱交換をおこないます。

タンク

冷却液は、エンジンからの熱を吸収したあとタンクに入り、ラジエーターのフィンとチューブを通過し熱を放出します。その後、冷えた冷却液が再びタンクに戻るという仕組みで、この循環が続きます。このようにタンクは冷却液を一時的にためておく役割があります。

プレート

ラジエーター内部の冷却液や空気の流れを誘導し、熱交換の効率を高めるために使用される金属板のことです。プレートは熱伝導性が高い材料で作られており、アルミニウムや銅などがよく使用されています。

まとめ

ラジエーターは、工場の機器や自動車、コンピューターなどさまざまな用途で使われる熱交換器で、主に冷却液や空気を通じて放熱し、機器の過熱を防ぎます。

もし、ラジエーターがなければ、機器はオーバーヒートして直ぐに故障したり、火災の原因になったりするため、あらゆる機器を使用するのに必要不可欠のパーツといえます。

 

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