給湯器の内部構造は?どうやってお湯が出るの?
給湯器とは、建物内の必要な箇所にお湯を供給する設備のことです。
温かいお湯は、料理や入浴、掃除などさまざまな場面で必要とされています。しかし、「普段何気なく使っているお湯が、どのようにして給湯器から供給されているのか、その仕組みまでは知らない」という方も少なくありません。
今回は、給湯器に使われている部品や内部構造、一般的な仕組みを、わかりやすく解説します。
目次
給湯器の主な部品
この給湯器は、さまざまな部品を使用し、それを連携することでお湯を出しています。そこで、まずは使われている主な部品について解説します。各パーツの役割を知ることによって、お湯を出す仕組みについて理解しやすくなるはずです。
給湯熱交換器
給湯熱交換器は、ガスや電気などで加熱された熱を水に移動させ、お湯を作るための部品です。高効率の熱交換器であるほど、エネルギーの無駄が少ないため、効率的にお湯を出すことができます。
給湯熱交換器は、給湯器の中でも中心的な役割を負っている部品です。そのことを知ってもらうために、給湯器が水をお湯に変える仕組みを簡単にお伝えします。
- 蛇口をひねることで、給湯器の中に水が流れ込む
- 燃焼によって発生した熱を水に伝え、お湯にする
- お湯が蛇口から出てくる
上記の2で使用しているのが給湯熱交換器です。このように、給湯熱交換器は給湯器の中心的な部品です。ちなみに、一般的な形状は凸凹にプレスされた金属のプレートを重ね合わせた構造をしています。
参考ページ:熱交換器とは何か?その基本的な仕組みと種類を紹介
水量センサー
製品の仕様やモデルによって異なりますが、一般な的に給湯器には水量センサーが備わっています。これは、給湯器にどれくらいの水が入っているかを測る部品です。
蛇口をひねると水が給湯器に流れ込みますが、それをセンサーが感知し、お湯を沸かす準備を始めます。このセンサーのおかげで、給湯器は必要な量の水だけを温めることができます。その他、給湯器が故障しないようにする役割もあります。
ファンモーター(燃焼ファン)
ガス給湯器の場合は、天然ガスやプロパンガスなどを燃焼させることで、水を加熱しています。そのため、給湯器にはファンモーター(燃焼ファン)が設置されています。これは、空気(酸素)を送風し燃焼させるための部品です。
このファンがあるおかげでガスが燃え、効率よくお湯を温めることができます。また、燃焼後のガスを外に排出するのにも役立っています。
温度ヒューズ(過熱防止装置)
温度ヒューズ(過熱防止装置)は、給湯器が異常に熱くなりすぎるのを防ぐための安全装置です。もし給湯器の中の温度が設定された限度を超えてしまったら、温度ヒューズが作動し、給湯器の電源を自動的に切ります。
給湯器が異常に熱くなってしまう原因としては、水垢やセンサーの故障などがえられます。こういったことが起こったとき、温度ヒューズが稼働し、火事や故障の原因を防ぎます。
水位センサー
水位センサーは、文字通りお風呂にたまったお湯の量を測る部品です。もし水が不足していたり、逆に溢れそうだったりする場合、水位センサーが感知し、給湯器に知らせます。
圧力式センサー、静電容量式センサー、光学式センサーなどいくつかのタイプがあります。これらのセンサーによって、給湯器はお風呂のお湯をちょうどいい量に保ちやすくなっています。
循環ポンプ
循環ポンプは、お風呂のお湯を循環させる部品です。このポンプは、お湯をお風呂から給湯器に戻したり、逆に給湯器からお風呂に送ったりなどの役割があります。こうすることで、お風呂のお湯を綺麗に保ち、常に温かいお湯にしておくことができます。
近年では、省エネタイプのものがあり、使用しない時に自動停止することでエネルギーの無駄をなくしています。
電装基板
電装基板は、給湯器の頭脳ともいえる部品です。
センサーからの情報を受け取り、給湯器が正しく動くよう指示を出すなどの役割があります。具体的には、お湯の温度調節やガスの点火制御、安全装置に連動した動作停止機能などを電装基板がおこなっています。
給湯器の内部構造
給湯器は加熱方式によって、直接加熱方式と間接加熱方式の2種類があります。そして、どちらのタイプかによって使われる部品にいくらか違いがあるのです。
直接加熱方式
直接給湯方式ともいい、燃料によるエネルギーあるいは、電気エネルギーを使用して直接水を加熱します。直接加熱方式特有の部品としては、燃焼室(ガス給湯器の場合)やヒーター(電気給湯器の場合)などがあります。
- 燃焼室:ガスを燃焼させ発生した熱を直接水に伝えるための部屋
- ヒーター:電気を熱エネルギーに変換して直接水を加熱する装置
間接加熱方式
間接給湯方式ともいいます。これはボイラなど暖房用やその他の目的のために作られた温水や蒸気を加熱し、間接的に水を温めます。この方式では、加熱媒体の流れを調節するための「バイパス弁」や、加熱媒体の体積変化に対応するためのタンクである「拡張タンク」などを使用しています。
- バイパス弁:熱交換器をバイパスして加熱媒体の流れを制御する
- 拡張タンク:システム内の圧力が適切な範囲内に保つための部品
なお他にも分類方法があります。例えば供給方式によって局所式と中央式に分けることができ、それぞれ使われる部品も異なります。
給湯器でお湯が出る仕組み
お湯は料理・洗い物・お風呂など、さまざまな場面で必要とされているため、給湯器は日常生活に欠かせない機器の1つです。給湯器でお湯が沸く仕組みは簡単にいえば、ガスや電気などのエネルギー源を利用し水を温めることで実現しています。
以下は、一般的な給湯器でお湯が出る仕組みです。
- 蛇口をひねると、給湯器の中にある配管に水が流れる。
- 水が流れたことを水量センサーが感知。給湯器が稼働し始める。
- 水量センサーが作動し、ガスが燃焼を開始。ガス給湯器では、ガスの点火によって金属のパイプ(熱交換器)が加熱される。
- 水が熱交換器を通過することでお湯になる。
- 蛇口をひねると設定温度のお湯が出る。
なお、製品によって詳しい仕組みは少し異なります。以下はその例です。
エコキュート
外の空気から熱を取り込み、お湯を沸かす電気式給湯器の一種です。この仕組みはヒートポンプ技術と呼ばれていて、冷媒として二酸化炭素を使っています。まず、外の空気の熱を取り込み、それを電気の力で強く押し込む(圧縮する)ことで熱くします。その熱を利用し、お湯を約90℃まで温めます。
エコジョーズ
ガスでお湯を温める給湯器の一種ですが、普通の給湯器よりも熱を効率的に使います。燃焼で出る熱い排ガスをもう一度使い、お湯をさらに温める「二次熱交換器」という部品があり、これを活用しています。
エコフィール
石油給湯器の一種で、排気とともに空気中に放出していた熱エネルギーを有効利用してお湯を温めます。
まとめ
給湯器は、燃料を燃焼させることで水を加熱し、お湯を供給する装置です。内部には、水量センサーやファンモーター、イグナイター、温度ヒューズなどさまざまな部品が使われており、これらを連携してお湯を効率よく供給しています。
その仕組みを理解することで、用途に合わせた製品を選びやすくなるでしょう。
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